岩本)関田さんのK2との関わりと自己紹介をお願いできますか?
関田さん)K2との出会いは、就職活動で悩んでいた大学4年生の頃、私が所属していたゼミの恩師からK2グループを紹介していただいたことがきっかけです。2017年4月から就労移行支援事業所Hata Laboで勤務させていただいておりました。その後同年6月に病気(中学の頃に発症した脳腫瘍)が悪化してしまい、長期の入院治療を要することからやむなく職場を離れることとなりました。しかし、退社後もK2グループのみなさんのご活動はSNSなどを通じて拝見させていただいていたり、とても身近に感じながら交流を続けさせていただいております。 今は病気の後遺症でかすかに光が見える程度の視力しかないのですが、視覚障害当事者として小学校の福祉教育の講話活動に取り組んだりしています。
岩本)うんめぇもん市の活動や東日本大震災について関田さんの考えや感じていることなど教えてください。
関田さん)3・11の大地震が起きた当時、高校一年生だった私は手術治療のために病院に入院していた最中でした。実際に被災地を訪れたり、直接現地の方々とお話をしたことはまだないのですが、置かれている境遇は違っても、当時病気の再発により人生に絶望していた私にとってはどこか重なる想いがある気がして、メディアで取り上げられる被災された方々の様々なお話や復興の様子などを自分の人生と重ねて見ていることが多いように感じます。そこで学んだことは、人には前を向き歩んでいくたくましさがあること、そして新たな可能性を模索し生み出してゆく創造力があるということです。
岩本)生きづらさを抱える若者に対してK2が行っている活動について思うことや、今後取り組んでほしい活動があれば教えてください。
関田さん)病気や障害がある身からすると私自身も「生きづらさを抱える若者」に属するのかもしれません。私の場合は生きづらさの背後に「孤立感」や「無力感」があったように感じます。しかし今は自らの経験や生き様が人に勇気を与えるということを知り、そんな自分の持つ力を信じることができたことで人生に新たな意味や役目を見出すことができました。今の私にとっては福祉教育に取り組む中で子どもたちと触れ合い、自分の中にある想いを伝えることが生きがいとなりつつあります。同様に、生きづらさを抱える若者がK2グループの取り組みを通じ自分の役目を感じ、自らの力を発揮して活躍できる経験が彼ら自身の信頼回復にもつながっていると感じます。
岩本)うんめぇもん市のメニューやK2の飲食店のもので、好きなものはありますか?
関田さん)実は、Hata Laboで働いていた時は仕事を覚えることに必死で、うんめぇもん市のメニューを味わったことがなかったのです。職場の上司からは「石巻のり弁が美味しいんだよ!」とおすすめしていただいていました。ただ、パン屋のオヤジには強い思い入れがあります。働いていた当時、終業時間が近づいてきた頃になると、店頭販売していたパンをHata Laboの事務所まで運んできて売りに来てくれました。一日仕事に集中してクタクタになっていた私にはそれがご褒美で、家に帰ってから食べることが楽しみで仕方ありませんでした。パン屋のオヤジのパンが私の心の励みとなっていました。石巻の食材を使った貝ひもの塩麹コロッケなども魅力的ですし、金華鯖のノルウェー風焼きサバサンドコッペもとても美味しかったです。
岩本)最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
関田さん)食べることによって石巻の力になれる一方で、こちらも活力を分け与えてもらう、そんなギブアンドテイクがうんめぇもん市では、味わうことができるのではないでしょうか。
K2の「食」を通じて、人やその土地との結びつきをより多くの方々に体感してもらえたらいいなと思います。