うんめぇもん応援団 応援ファイルNo.67 うんめぇもん応援団突撃インタビュー

前田 正子さん

3月15日(金)「無子高齢化社会~出生数ゼロの恐怖(岩波書店)」を出版された前田正子さんをお招きしてセミナーを開催しました。
前田さんはK2が横浜市との共働を本格的に始めるきっかけとなった「こども青少年局」ができた時、横浜市副市長としてこどもや若者の問題に取り組まれていました。横浜市を退職された後も活動を応援してくださっています。

岩本)セミナーではとても重く、危機感を覚える内容でありながら、軽快な語り口で笑いがあり、楽しくあっという間の2時間でした。少子化対策というと、保育園をつくるなどのハード面での整備に注目が集まりますが、結婚や子育て世代の若者達を取り巻く社会の変化や働き、自立する事が難しい時代に社会の荒波に放り出された若者達の苦悩をデータの解説と共に分かり易く知ることができました。

前田さん)K2が若者支援に取り組み続けていることや、またスタッフの人たち一人一人が迷いながら自分たちの役割がどうあるべきか、若者達とどう関わるべきかと考え続けているまじめさに感銘を受けます。

岩本)セミナーでは多くのデータを用いてお話をしていただいたのですが、一日1200人ずつ人口は減っている事、特に20才から64歳の働き手世代については1500人程度が毎日減っているというお話を聞き、本当に危機感を覚えました。

前田さん)そうなんです。都会に住んでいると人が減っていることがわかりませんが、地方では本当に人がいなくなり、数年内に消えていく集落がいくつも出てくると思います。今すぐ生まれる子供が一定数に維持されるようになっても、人口減少は止まりません。また日本全国で働いてくれる人、地域を支えてくれる人が減っています。少子化の直接的な要因は未婚率の上昇ですが、その背景には若者たちが安定した仕事に就けなかったことがあります。一方、最近急に日本では働き手が減っていることが話題になっていますが、日本にはまだ働きたくても働けない若者や、社会に自分の居場所を見つけられない若者が大勢います。彼らに自分たちが望む形で社会で自分の役割をみつけてもらうことが必要です。社会での自分の居場所や仕事を獲得していく、そうすれば自分自身に自信を取り戻し、パートナーを見つけることにつながるかもしれません。
特に団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアが中年期に差し掛かっていますので、彼ら世代への支援は急務です。7040、8050問題といわれるように、親亡き後に、社会の中でどう生きていくかを一緒に考えてくれる人や支援が必要です。しかし、若者支援はその対象年齢層も広く、それぞれの若者が求めるものも違うので、一言では何が若者の問題なのかを語りにくく、理解されにくい分野でもあります。そのため必要な支援でありながら、手薄であるだけでなく、支援する方のノウハウもあまり蓄積されておらず、人材も多くないと感じています。

岩本)東日本大震災から8年が経ちました。私たちが続けてきた石巻と横浜のつながりは現在も進化発展しつつ、継続しています。前田さんは今、関西にお住まいとの事ですが、被災地への想いやうんめぇもん市の活動についてご感想やご意見など教えてください。

前田さん)震災のあと、金森さんと一緒に石巻に行かせていただき、津波の破壊力のすさまじさと、なにもかも流されてしまった街の様子に息をのみました。それに対して東北の人たちが我慢強いことにも感銘を受けました。一方、その後、東北に行くたびに、沿岸部の若い世代が仙台に移り住み、もう戻らないと話す様子を見ていました。私は、震災前から首都圏の保育所や介護施設が東北の若い世代を職員として吸収していることを知ってはいましたが、震災がそれをさらに加速させたことを肌で感じています。今は全国どこでも震災が起こる可能性があります。そのたびにそこで再び暮らしていけるように住宅のみならず仕事の再建も重要です。石巻市は復興モデル市として頑張っていますのでうんめえもん市が継続し、石巻の人たちへの支援が続いていることを知ってもらうと同時に、石巻産物の安定した販売先になるのが大きな貢献だと思います。

岩本)うんめぇもん市(K2)を応援してくださっている皆さんへ、また私たちの活動への応援メッセージをお願いします。

前田さん)震災によって石巻は大きな打撃を受けましたが、日本全体で今後は人口減少と高齢化が進みます。石巻の復興は地域の持続可能性をどう高めるかという日本全体の試金石にもなると考えています。また、若者支援といっても対象は10代から40代まで幅広く、それぞれの若者が目指すものや求めているものは違います。一人一人にオーダーメイドの支援が必要です。それは一人一人の能力を引き出すという一人の人間の人生にかかわる重要な仕事です。支援する側の人の育成も重要な役割ですので、期待しています。

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